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遺言書作成⑤(公正証書遺言①)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今回は、公正証書遺言についてお話ししたいと思います。

 

 公正証書遺言は、公証人が遺言者からの遺言の内容の口授を受け、それに基づいて公証人が遺言者の真意を正確に文章にまとめて、作成する方式です。

 

 公正証書遺言は、通常2〜3部作成されます。このうち、原本が公証役場に保管され、正本・謄本が遺言者に交付されます。

 

原本…公正証書作成のときに遺言者および証人が署名押印したものです。

 

正本…原本とほぼ同じものですが、遺言者および証人の署名押印が省略されていて、公証人が「これは正本である」と記載し、署名押印したものです。この正本によって遺言者が死亡した後の手続きは行います。

 

謄本…原本を謄写したもの、つまり原本の写しです。

 

 遺言執行者を指定した場合、正本は遺言執行者、謄本は遺言者が保管するのが一般的ですが、遺言執行者を指定していない場合は遺言者が正本を持ち、謄本を作成してもらう必要はありません。なお、正本や謄本が紛失した場合には、再交付してもらえます。

 

 公証役場での原本の保管期間は、規定において20年間となっています。公正証書遺言は、遺言者の死亡まで保管しておく必要がある文書ですが、具体的な保存期間は、結局は公証人の判断となりますので、特に若い方が遺言する場合には事前に公証人と相談してください。なお、公正証書遺言は、家庭裁判所での検認の手続きは不要です。

 

 公証人役場で保管してもらえるからこれで一安心と思われるかもしれませんが、公正証書遺言をしたことは相続人になる方には伝えるまでしておいてください。公証役場の方から遺言書があることの通知はしてくれないからです。遺言の存在や場所を誰にも知らせておかないと「遺言はない」と思われかねません。相続人が公正証書遺言の有無についての確認することは公正証書遺言検索システムでできます。この照会は、どこの公証役場でもできますので最寄りの公証役場で確認してください。

 

 では、具体的にどのような手順で公正証書遺言を作成するのか。この手順については、次回お話しします。

 

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